StudyMed医師国家試験

「1回2錠」と「1日2錠」は違う―処方箋を正しく読む力が事故を防ぐ

第119回医師国家試験 E問題 第24問

国試問題にチャレンジ

第119回 E問題 第24問

ある患者の処方箋を下に示す。  この患者が1日に服用する錠剤の個数はどれか。

第119回 E問題 第24問の問題画像
  1. a.1
  2. b.2
  3. c.3
  4. d.4
  5. e.5

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は処方箋の読み取りの問題だ。医学的な知識というより、処方箋のどこに何が書いてあるかを正確に拾えるかがポイントになる。注目すべきは「1回量」「1日の服用回数」「投与日数」の3つ。まず、処方箋のRp.という記号の意味は知っているかな。
医学生医学生
ラテン語由来で「処方せよ」という意味だと、医療概論の講義で聞いた気がします。
ドクタードクター
その通り。Recipeの略で「次のものを取れ」という意味だ。Rp.ごとに、薬剤名と規格、1回量、1日の服用回数、服用のタイミング、投与日数が書かれている。今回は2つのRp.があるね。
医学生医学生
1つ目はフロセミド10mg錠を1回2錠、1日1回朝食後、2つ目はベラパミル塩酸塩40mg錠を1回1錠、1日3回毎食後ですね。どちらも14日分です。
ドクタードクター
よく読めている。では1日に飲む錠剤の数はどう計算する?
医学生医学生
14日分とあるので、何かそれで割るのかと一瞬思ってしまいました。
ドクタードクター
そこがひっかけの1つ目だね。「14日分」は何日間処方するかという投与日数で、1日の個数には関係しない。1日の個数は薬剤ごとに「1回量×1日の服用回数」で求めて、それを合計するんだ。
医学生医学生
フロセミドは2錠×1回で2錠、ベラパミルは1錠×3回で3錠、合わせて5錠ですね。
ドクタードクター
正解。時間帯で見ると、朝食後はフロセミド2錠とベラパミル1錠の計3錠、昼食後と夕食後はベラパミルを1錠ずつになる。ちなみに14日分の総数は70錠だ。
医学生医学生
2錠や3錠と答えてしまう人は、片方の薬しか数えていないということですか。
ドクタードクター
そうだね。フロセミドだけなら2錠、ベラパミルだけなら3錠。1回量を単純に足しても3錠になる。4は1日1回と1日3回を足した服用回数の合計で、錠剤の個数ではない。1は服用回数や1回量だけを拾った場合の数だ。どれも「1回量」と「1日量」の区別があいまいなときに生まれる誤りなんだ。
医学生医学生
昔は「分3」という書き方もあったと聞きました。臨床実習で古い処方記録を見たとき、どちらの量なのか戸惑いました。
ドクタードクター
かつては1日量を書いて「分3」とする方式が広く使われていた。でも1回量と1日量の取り違えで、3倍量投与などの事故が起きてきた。そこで現在は1回量を基本に、服用回数・タイミング・日数を併記する書き方が推奨されている。
医学生医学生
規格の「10mg錠」まで書くのも、同じく取り違え防止のためですか。
ドクタードクター
そう。同じ薬でも複数の規格があると、規格を書かないと過量・過少投与につながる。処方箋の記載事項は医師法施行規則で定められていて、患者の氏名・年齢、薬名、分量、用法・用量、発行年月日、使用期間、医療機関の名称と所在地、そして医師の記名押印または署名が必要だ。
医学生医学生
保険処方箋の使用期間は、特に書かなければ交付日を含めて4日以内でしたよね。
ドクタードクター
よく覚えているね。それから「以下余白」は追記や改ざんを防ぐための記載だ。薬そのものにも触れておくと、フロセミドはループ利尿薬で、夜間頻尿を避けるため朝に飲むのが一般的。低カリウム血症などの電解質異常に注意する。ベラパミルは非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬で、房室結節の伝導を抑えるので心房細動の心拍数調節などに使われる。徐脈や房室ブロックに注意が必要だ。
医学生医学生
服用タイミングにも薬の性質に応じた意味があるんですね。研修医になったら、処方を出すたびに1回量と1日量を確認する癖をつけます。
ドクタードクター
それは良い習慣だ。処方は医師が書いて終わりではなく、薬剤師、看護師、そして患者さん自身が読むもの。誰が読んでも誤解のない処方箋を書くことが、安全な薬物治療の第一歩だよ。

まとめ

処方箋の内服薬は、Rp.ごとに薬剤名(規格)、1回量、1日の服用回数、服用タイミング、投与日数が記載されており、1日の服用錠数は薬剤ごとに「1回量×1日の服用回数」を計算して合計します。本問ではフロセミド1回2錠1日1回で2錠、ベラパミル塩酸塩1回1錠1日3回で3錠、合計5錠となり、「14日分」は投与日数なので1日の個数には関係しません。かつての「分3」のような1日量記載は1回量との取り違えによる事故を招いたため、現在は1回量を基本とする記載が推奨され、規格の明記や「以下余白」も誤りや改ざんを防ぐ工夫です。処方箋の記載事項は医師法施行規則で定められ、保険処方箋の使用期間は原則として交付日を含め4日以内です。処方箋を正確に読み書きする力は、医療安全の基本として臨床のあらゆる場面で求められます。

解答・解説

正解はeです

処方箋から患者が1日に服用する量を正しく読み取れるかを問う問題である。処方箋の内服薬の欄には、Rp.(ラテン語のRecipe「次のものを取れ」の略で、処方の各項目を示す記号)ごとに、薬剤名(規格を含む)、1回量、1日の服用回数、服用のタイミング、投与日数が記載される。 本問の処方箋の内容は次のとおりである。 ・Rp.1 フロセミド10mg錠 1回2錠 1日1回 朝食後服用 14日分 ・Rp.2 ベラパミル塩酸塩40mg錠 1回1錠 1日3回 毎食後服用 14日分 1日に服用する錠剤数は「1回量×1日の服用回数」で求める。 ・フロセミド:2錠×1回=2錠/日 ・ベラパミル塩酸塩:1錠×3回=3錠/日 よって1日の合計は2+3=5錠となる(参考までに14日分の総数は5×14=70錠である)。 読み取りで注意すべき点は二つある。第一に、「1回2錠」は1回に飲む量であり1日量ではないこと。第二に、「14日分」は投与日数であって、1日の個数の計算には関係しないことである。現在の内服薬処方箋は、取り違えを防ぐため1回量を基本として記載し、服用回数・タイミング・日数を併記する方式が推奨されている。

選択肢考察

  1. ×a.  1

    フロセミドの服用回数(1日1回)や、ベラパミル塩酸塩の1回量(1錠)だけを拾ってしまった場合の数である。実際にはフロセミドで1日2錠、ベラパミル塩酸塩で1日3錠を服用するため誤りである。

  2. ×b.  2

    フロセミドの1日量(1回2錠×1日1回=2錠)のみを数えた値である。ベラパミル塩酸塩の1日3錠が加算されていないため誤りである。

  3. ×c.  3

    ベラパミル塩酸塩の1日量(1回1錠×1日3回=3錠)のみを数えた値、あるいは各薬剤の1回量を単純に足した値(2錠+1錠)である。いずれも1日に服用する総数を表していないため誤りである。

  4. ×d.  4

    フロセミドの1日の服用回数(1回)とベラパミル塩酸塩の1日の服用回数(3回)を足した「1日の服用回数の合計」に相当する数であり、錠剤の個数ではない。また1回量の取り違えでも生じうる値である。正しく計算すると5錠となるため誤りである。

  5. ○e.  5

    フロセミド10mg錠は1回2錠を1日1回(朝食後)服用するので1日2錠、ベラパミル塩酸塩40mg錠は1回1錠を1日3回(毎食後)服用するので1日3錠となる。合計2+3=5錠であり、これが正しい。時間帯別にみると、朝食後にフロセミド2錠とベラパミル塩酸塩1錠の計3錠、昼食後と夕食後にベラパミル塩酸塩を各1錠服用することになる。

処方箋の記載事項(医師法施行規則第21条)

医師が患者に交付する処方箋には、患者の氏名・年齢、薬名、分量、用法・用量、発行年月日、使用期間、病院または診療所の名称・所在地(または医師の住所)を記載し、記名押印または署名しなければならない。保険診療の処方箋では、これに加えて保険者番号などの保険関係事項も記載される。

処方箋の使用期間

保険処方箋の使用期間は、特に記載がなければ交付日を含めて4日以内である。この期間を過ぎた処方箋では調剤を受けられない。

内服薬の記載方法

・薬名は規格(含量、例: 10mg錠)まで記載する。規格が複数ある薬では、記載がないと過量・過少投与の原因となる。 ・分量は1回量を基本とし、1日の服用回数、服用時点(朝食後、毎食後、就寝前など)、投与日数を明記する。かつては1日量を記載して「分3」などと表記する方法が広く用いられていたが、1回量と1日量の取り違えによる事故を防ぐため、1回量での記載が推奨されるようになった。 ・「以下余白」の記載は、処方内容の追記・改ざんを防ぐためのものである。

本問の薬剤について

・フロセミド:ループ利尿薬。Henle係蹄上行脚のNa+-K+-2Cl−共輸送体を阻害して強い利尿作用を示し、心不全や浮腫、高血圧などに用いられる。夜間の頻尿による睡眠障害を避けるため、朝に服用するのが一般的である。低カリウム血症などの電解質異常に注意する。 ・ベラパミル塩酸塩:非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬。房室結節の伝導を抑えるため、頻脈性不整脈(心房細動の心拍数調節、発作性上室頻拍など)や狭心症に用いられる。徐脈や房室ブロック、心機能低下に注意する。

その他

・「変更不可」欄にチェックや署名がない場合、薬局で後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が可能である。 ・リフィル処方箋は、医師が「リフィル可」欄に記載した場合に、一定期間内に最大3回まで繰り返し使用できる処方箋である。

POINT

・1日の服用個数=1回量×1日の服用回数を、薬剤ごとに計算して合計する。 ・本問はフロセミド2錠/日+ベラパミル塩酸塩3錠/日=5錠/日。 ・「1回○錠」は1回量、「○日分」は投与日数であり、取り違えない。 ・内服薬の処方箋は1回量を基本に、服用回数・時点・日数を併記するのが推奨される。 ・処方箋の記載事項は医師法施行規則第21条に定められている。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。