StudyMed医師国家試験

27日ルールは「注射生×注射生」だけ―ワクチン接種間隔の現在地

第117回医師国家試験 C問題 第17問

国試問題にチャレンジ

第117回 C問題 第17問

我が国で種類の異なるワクチンを同時接種以外のスケジュールで接種する場合,間隔を27日以上あける必要がある組合せはどれか。

  1. a.BCG ―― ロタウイルスワクチン
  2. b.MRワクチン ―― 水痘ワクチン
  3. c.おたふくかぜワクチン ―― 4種混合ワクチン
  4. d.小児用肺炎球菌ワクチン ―― B型肝炎ワクチン
  5. e.インフルエンザ桿菌ワクチン ―― MRワクチン

対話形式の解説

ドクタードクター
今回はワクチンの接種間隔の問題だ。カギは、それぞれのワクチンを「注射生ワクチン」「経口生ワクチン」「不活化ワクチン」に正しく分類できるかどうか。そして、現在の接種間隔ルールを知っているかどうかだね。まず、接種間隔のルールについて覚えていることはあるかな。
医学生医学生
生ワクチンの後は27日以上、不活化ワクチンの後は6日以上あける、と覚えていました。
ドクタードクター
それは以前のルールなんだ。2020年10月に見直されて、今は異なるワクチン間で間隔の制限が残っているのは「注射生ワクチンの後に別の注射生ワクチンを接種する場合」だけ。このときは接種した日の翌日から数えて27日以上、つまり4週間後の同じ曜日以降なら接種できる。それ以外の組合せには、異なるワクチン間の間隔の制限はないんだ。
医学生医学生
ずいぶんシンプルになったんですね。でも、なぜ注射生ワクチン同士だけ制限が残っているんですか。
ドクタードクター
いい疑問だね。注射生ワクチンを接種すると、弱毒化した病原体が体内で増えて、インターフェロンなどの自然免疫応答が誘導される。その最中に別の注射生ワクチンを打つと、後から入ったワクチンウイルスの増殖が抑えられて、十分な免疫がつかないおそれがある。これをウイルス干渉という。不活化ワクチンはそもそも体内で増えないから、この問題はほとんどない。
医学生医学生
微生物学の講義でウイルス干渉という言葉は聞いた覚えがあります。こういう場面で効いてくるんですね。では、MRワクチンと水痘ワクチンはどちらも皮下注射の生ワクチンなので、これが27日以上あける組合せですね。
ドクタードクター
正解。麻疹・風疹混合のMRワクチンも水痘ワクチンも、皮下注射で接種する弱毒生ワクチンだ。同時接種しないなら27日以上の間隔が必要になる。ほかの組合せも確認しよう。BCGとロタウイルスワクチンはどうかな。
医学生医学生
どちらも生ワクチンなので、これも27日あけると思ってしまいそうです。
ドクタードクター
そう迷う人は多いね。BCGは管針法による経皮接種だけれど、運用上は注射生ワクチンと同じ扱いになる。一方、ロタウイルスワクチンは口から飲む経口生ワクチンで、腸管で局所的に増えるから注射生ワクチンとの干渉は問題にならないと考えられている。経口生ワクチンが関わる組合せには制限がないんだ。
医学生医学生
おたふくかぜワクチンは注射生ですが、4種混合ワクチンは不活化なので制限なし、ですね。
ドクタードクター
その通り。4種混合はジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオで、トキソイドを含む不活化ワクチンだ。なお定期接種では2024年4月から、Hibを加えた5種混合ワクチンが使われるようになっているけれど、不活化ワクチンである点は変わらない。
医学生医学生
小児用肺炎球菌ワクチンとB型肝炎ワクチンは、どちらも不活化ですよね。
ドクタードクター
そう。肺炎球菌は莢膜多糖体にキャリア蛋白を結合させた結合型ワクチン、B型肝炎は遺伝子組換えでつくったHBs抗原を使うワクチンで、どちらも不活化に分類される。不活化同士だから間隔の制限はない。最後のインフルエンザ桿菌ワクチン、つまりHibワクチンも結合型の不活化ワクチンだから、MRワクチンと組み合わせても制限はないよ。
医学生医学生
小児科の実習で予防接種外来を見学したとき、1回の受診で何本も同時に打っていて驚きました。
ドクタードクター
同時接種は、医師が必要と認めれば行うことができる。注射生ワクチン同士でも、同じ日に打つ同時接種なら問題ない。27日ルールは「同時接種しない場合」に適用されるものなんだ。乳児期は接種するワクチンが多いから、同時接種をうまく使うことで受診回数を減らし、早く免疫をつけられるという利点がある。
医学生医学生
つまり、注射生ワクチン同士は同じ日に打つか、27日以上あけるかのどちらか、ということですね。
ドクタードクター
その理解で大丈夫。臨床での注意点も押さえておこう。まず、ここで話したのは異なるワクチン間の間隔で、同じワクチンを複数回打つ場合はそれぞれに定められた間隔を守る必要がある。それから、輸血やγグロブリン製剤の投与を受けた人では、その中の抗体が生ワクチンの効果を弱めてしまうので、MRなどの注射生ワクチンは通常3か月以上、大量投与後ならさらに長く延期する。川崎病で大量γグロブリン療法を受けた子どもでは特に注意が必要だ。
医学生医学生
ワクチンごとの分類を正確に覚えておかないと、外来で接種予定を組むときに困りそうです。
ドクタードクター
そうだね。MR・水痘・おたふくかぜ・BCGは注射生、ロタは経口生、Hib・肺炎球菌・B型肝炎・4種/5種混合は不活化。この分類が頭に入っていれば、接種間隔の問題はすぐに解けるし、実際の予防接種スケジュールの相談にも自信をもって応じられるよ。

まとめ

我が国では2020年10月から接種間隔の規定が見直され、異なるワクチンを同時接種以外で接種する際に27日以上の間隔が必要なのは、注射生ワクチンの後に別の注射生ワクチンを接種する場合のみとなりました。これは、先に接種した生ワクチンが誘導する自然免疫応答によって後のワクチンウイルスの増殖が抑えられる「ウイルス干渉」を避けるためです。MR・水痘・おたふくかぜ・BCG(経皮接種だが注射生と同様に扱う)は注射生ワクチン、ロタウイルスワクチンは経口生ワクチン、Hib・小児用肺炎球菌・B型肝炎・4種/5種混合は不活化ワクチンであり、本問ではMRワクチンと水痘ワクチンの組合せが該当します。同時接種であれば注射生ワクチン同士でも問題なく、同一ワクチンの複数回接種の間隔や、輸血・γグロブリン投与後の生ワクチン延期にも注意が必要です。ワクチンの分類と現行ルールを正確に理解しておくことは、小児の予防接種スケジュールを安全かつ効率的に組むための基本となります。

解答・解説

正解はbです

現行の接種間隔ルール

我が国では2020年10月1日から、種類の異なるワクチンを別々の日に接種する際の間隔の規定が見直された。現在のルールは次の1点に集約される。 ・注射で接種する生ワクチン(注射生ワクチン)を接種した後に、別の注射生ワクチンを接種する場合は、接種した日の翌日から数えて27日以上の間隔をあける(=4週間後の同じ曜日以降に接種可能)。 ・それ以外の組合せ(注射生ワクチン→不活化ワクチン、注射生ワクチン→経口生ワクチン、不活化ワクチン→あらゆるワクチン、経口生ワクチン→あらゆるワクチン)には、異なるワクチン間の接種間隔の制限はない。

なぜ注射生ワクチン同士だけなのか

注射生ワクチンを接種すると、弱毒化された病原体が体内で増殖し、インターフェロンなどの自然免疫応答が誘導される。この期間に別の注射生ワクチンを接種すると、後のワクチンウイルスの増殖が抑えられ、十分な免疫がつかないおそれがある(ウイルス干渉)。一方、不活化ワクチンは体内で増殖しないためこの干渉の問題が小さく、経口生ワクチン(ロタウイルスワクチン)は腸管局所で増殖するため注射生ワクチンとの干渉は問題にならないと考えられている。

解き方

各選択肢のワクチンを「注射生」「経口生」「不活化」に分類し、両方が注射生ワクチンである組合せを選べばよい。なお、ここで述べるのは異なるワクチン間の間隔であり、同じワクチンを複数回接種する場合は、それぞれのワクチンで定められた接種間隔に従う必要がある。

選択肢考察

  1. ×a.  BCG ―― ロタウイルスワクチン

    誤り。BCG(ウシ型結核菌を弱毒化した結核予防ワクチン)は経皮接種(管針法)で接種する生ワクチンであり、注射生ワクチンと同じ扱いになる。一方、ロタウイルスワクチンは口から飲む経口生ワクチンである。経口生ワクチンが関わる組合せには異なるワクチン間の間隔の制限がないため、27日以上あける必要はない。

  2. ○b.  MRワクチン ―― 水痘ワクチン

    正しい。MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)も水痘ワクチンも、いずれも皮下注射で接種する弱毒生ワクチンである。注射生ワクチンの後に別の注射生ワクチンを接種する組合せに該当するため、同時接種しない場合は27日以上の間隔をあける必要がある。

  3. ×c.  おたふくかぜワクチン ―― 4種混合ワクチン

    誤り。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)ワクチンは注射生ワクチンだが、4種混合ワクチン(DPT-IPV:ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)は不活化ワクチン(トキソイドを含む)である。注射生ワクチンと不活化ワクチンの組合せには間隔の制限はない。なお、定期接種では2024年4月からHibワクチンを加えた5種混合ワクチンが用いられるようになったが、不活化ワクチンである点は同じである。

  4. ×d.  小児用肺炎球菌ワクチン ―― B型肝炎ワクチン

    誤り。小児用肺炎球菌ワクチンは莢膜多糖体にキャリア蛋白を結合させた結合型ワクチン、B型肝炎ワクチンは遺伝子組換え技術で作ったHBs抗原を用いるワクチンで、いずれも不活化ワクチンに分類される。不活化ワクチン同士の組合せには間隔の制限はない。

  5. ×e.  インフルエンザ桿菌ワクチン ―― MRワクチン

    誤り。インフルエンザ桿菌ワクチン(Hibワクチン:インフルエンザ菌b型ワクチン)は、莢膜多糖体を破傷風トキソイドに結合させた結合型の不活化ワクチンである。MRワクチンは注射生ワクチンだが、不活化ワクチンとの組合せであるため、どちらを先に接種しても間隔の制限はない。

主な小児ワクチンの分類

・注射生ワクチン:MR(麻疹・風疹)、水痘、おたふくかぜ、BCG(経皮接種)、黄熱 など ・経口生ワクチン:ロタウイルスワクチン ・不活化ワクチン(トキソイド・結合型・組換えを含む):Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、4種混合(DPT-IPV)/5種混合(DPT-IPV-Hib)、日本脳炎、インフルエンザ、HPV など

接種間隔ルールの変遷

かつては、生ワクチン接種後は27日以上、不活化ワクチン接種後は6日以上あけてから別のワクチンを接種することとされていた。2020年10月1日以降は、注射生ワクチン同士の組合せのみに27日以上の間隔が求められ、それ以外の異なるワクチン間の間隔の規定は撤廃された。

同時接種

医師が必要と認めた場合は、複数のワクチンを同じ日に接種(同時接種)できる。注射生ワクチン同士でも同時接種であれば問題なく、間隔の規定は「同時接種しない場合」に適用される。

その他の留意点

・同一ワクチンの複数回接種は、各ワクチンで定められた間隔を守る。 ・輸血やγグロブリン製剤の投与を受けた場合、抗体によって生ワクチンの効果が弱まるため、MRなどの注射生ワクチンの接種は一定期間(通常3か月以上、大量投与では6か月以上など)延期する。

POINT

・異なるワクチンで27日以上の間隔が必要なのは「注射生ワクチン→注射生ワクチン」の組合せのみ(2020年10月〜)。 ・不活化ワクチンや経口生ワクチン(ロタ)が関わる組合せには間隔の制限がない。 ・BCGは経皮接種だが注射生ワクチンとして扱う。 ・MR・水痘・おたふくかぜ・BCG=注射生、ロタ=経口生、Hib・肺炎球菌・B型肝炎・4種/5種混合=不活化。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。