StudyMed医師国家試験

デイケアをすすめられたら誰に頼む?―介護保険の「司令塔」ケアマネジャーの役割

第116回医師国家試験 F問題 第1問

国試問題にチャレンジ

第116回 F問題 第1問

介護保険を利用した通所リハビリテーションをすすめられた際に,患者が支援を依頼すべき職種で最も適切なのはどれか。

  1. a.ケアマネジャー
  2. b.歯科衛生士
  3. c.訪問看護師
  4. d.ホームヘルパー
  5. e.理学療法士

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、介護保険を使って通所リハビリテーション、いわゆるデイケアを始めるとき、患者さんがまず誰に支援を頼めばよいかを問う問題だ。ポイントは、介護保険サービスは医療保険と違って「受診すればすぐ使える」ものではない、ということ。利用開始までの流れを思い浮かべながら考えてみよう。
医学生医学生
リハビリの話なので、理学療法士に相談すればいいように思ってしまいます。
ドクタードクター
多くの人がそこで迷うんだ。理学療法士は実際にリハビリを行う人だけど、デイケアを使えるようにする手続きや調整は担当しない。では、介護保険サービスを使うまでの手順を確認しよう。最初に何をする?
医学生医学生
公衆衛生の講義で習いました。市町村に要介護認定を申請するんですよね。
ドクタードクター
そう。保険者は市町村と特別区だ。認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会が判定して、要支援1・2、要介護1〜5、または非該当に区分される。主治医意見書は医師が書くものだから、医師にとっても身近な書類だよ。
医学生医学生
認定されたら、すぐにデイケアの事業所に通えるんですか。
ドクタードクター
その前に、区分ごとの支給限度額の範囲で、どのサービスをどれだけ使うかを決めるケアプランを作る必要がある。そのケアプランに沿って事業者と契約し、ようやく利用開始だ。この申請の支援、ケアプランの作成、事業者との連絡・調整を担うのが介護支援専門員、つまりケアマネジャーなんだ。
医学生医学生
だから支援を頼むべきなのはケアマネジャー、ということですね。
ドクタードクター
正解。ケアマネジャーは介護保険法に位置づけられた職種で、利用者の心身の状態や希望を把握してプランを作り、開始後も定期的に訪問して状況を確認し、必要ならプランを見直す。いわば在宅介護の司令塔だね。ほかの職種がなぜ違うかも見ておこう。
医学生医学生
訪問看護師さんは、地域医療実習で同行したとき、ケアマネさんとよく電話していました。
ドクタードクター
いい観察だね。訪問看護師は主治医の訪問看護指示書に基づいて自宅を訪れ、清潔や排泄の援助などの療養上の世話や、点滴・褥瘡処置・服薬管理などの診療の補助を行う。ケアマネジャーと密に連携するけれど、ケアプランに組み込まれた個別サービスを提供する側なんだ。
医学生医学生
ホームヘルパーも同じく、サービスを提供する側ですね。
ドクタードクター
その通り。ホームヘルパー、正式には訪問介護員は、食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・調理・買い物などの生活援助を行う。歯科衛生士も、口腔ケアや居宅療養管理指導で訪問することはあるけれど、介護サービス全体の計画・調整役ではない。理学療法士はデイケアの現場で運動療法などを行う専門職で、やはり提供側だね。
医学生医学生
「サービスを提供する人」と「サービスを組み立てる人」を分けて考えればいいんですね。
ドクタードクター
まさにそれ。ここから少し発展させよう。ケアプランを作るのは誰か、実は認定区分によって違う。要介護1〜5なら居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援1・2なら地域包括支援センターが介護予防のプランを作る。地域包括支援センターから居宅介護支援事業所に委託されることもある。
医学生医学生
ケアプランの作成にお金はかかるんですか。
ドクタードクター
ケアマネジメントの費用は介護保険から全額給付されるので、利用者負担はない。サービス自体の自己負担は原則1割で、所得に応じて2割または3割だ。それから、40〜64歳の第2号被保険者は、脳血管疾患や関節リウマチ、末期がんなどの特定疾病による場合に限って利用できる点も押さえておこう。
医学生医学生
デイケアとデイサービスの違いも、ときどき混同してしまいます。
ドクタードクター
大事なところだね。デイケアは介護老人保健施設や病院・診療所に通い、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリを受ける。デイサービス、つまり通所介護は入浴・食事などの介護や機能訓練、レクリエーションが中心で、医師の関与は必須ではない。病棟で退院支援をするときは、医療ソーシャルワーカーとも協力しながら、退院後の生活をケアマネジャーにつなぐ意識を持っておくといいよ。

まとめ

介護保険サービスを利用するには、市町村への要介護認定の申請、介護認定審査会による判定、ケアプランの作成、事業者との契約という手順を踏む必要があります。このうち申請の支援、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡・調整を担うのが介護支援専門員(ケアマネジャー)であり、通所リハビリテーションをすすめられた患者がまず支援を依頼すべき職種です。訪問看護師、ホームヘルパー、歯科衛生士、理学療法士は、ケアプランに基づいて個々のサービスを提供する側の職種として区別します。なお、要介護者は居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援者は地域包括支援センターがプランを担当し、ケアマネジメントに利用者負担はありません。医師は主治医意見書の作成や退院支援を通じてこの仕組みに関わるため、各職種の役割を理解しておくことが多職種連携の基本になります。

解答・解説

正解はaです

問われていること

介護保険サービスである通所リハビリテーション(デイケア)を医師からすすめられた患者が、実際にサービスを使い始めるまでの手続きや調整を誰に頼むべきかを問う問題である。

考え方

介護保険のサービスは、医療保険のように医療機関を受診すればすぐに受けられるものではない。おおまかな流れは次のとおりである。 1. 市町村(保険者)に要介護認定を申請する。 2. 認定調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会で判定され、要支援1・2、要介護1〜5(または非該当)に認定される。 3. 認定区分ごとに定められた支給限度額の範囲で、どのサービスをどれだけ使うかを定めたケアプラン(居宅サービス計画)を作成する。 4. ケアプランに沿ってサービス事業者と契約し、利用を開始する。 このうち、申請の支援、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡・調整を担う専門職が介護支援専門員(ケアマネジャー)である。通所リハビリテーションを利用したい患者がまず相談し、支援を依頼すべき職種はケアマネジャーとなる。 他の選択肢の職種は、ケアプランに組み込まれた個々のサービスを実際に提供する側の職種である。

選択肢考察

  1. ○a.  ケアマネジャー

    最も適切である。ケアマネジャー(介護支援専門員)は介護保険法に位置づけられた職種で、利用者や家族の相談に応じ、要介護認定の申請代行、心身の状態や希望の把握(アセスメント)、ケアプランの作成、サービス事業者との連絡・調整を行う。サービス開始後も定期的に利用者を訪問して状況を確認し(要介護者では原則として月1回以上の居宅訪問)、必要に応じてプランを見直す。通所リハビリテーションをケアプランに組み込み、事業所との調整を行うのはケアマネジャーの役割である。

  2. ×b.  歯科衛生士

    不適切である。歯科衛生士は国家資格で、歯科医師の指導のもとで歯石除去やフッ化物塗布などのう蝕・歯周病の予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導を行う。在宅や施設での口腔ケアや、介護保険の居宅療養管理指導として訪問することもあるが、介護サービス全体の計画や調整を担う職種ではない。

  3. ×c.  訪問看護師

    不適切である。訪問看護師は訪問看護ステーションや医療機関に所属し、主治医の訪問看護指示書に基づいて患者の自宅を訪問し、療養上の世話(清潔・排泄の援助など)や診療の補助(点滴・褥瘡処置・服薬管理など)を行う。ケアプランに組み込まれる個別サービスの提供者であり、通所リハビリテーション利用の手続きや調整を担う職種ではない。

  4. ×d.  ホームヘルパー

    不適切である。ホームヘルパー(訪問介護員)は訪問介護事業所に所属し、利用者の自宅で食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・調理・買い物などの生活援助を行う。これもケアプランに基づくサービスの提供者であり、サービス利用の調整役ではない。

  5. ×e.  理学療法士

    不適切である。理学療法士(PT)は医師の指示のもとで、運動療法や温熱・電気刺激などの物理療法により、起き上がり・立ち上がり・歩行といった基本的動作能力の回復を図る国家資格職である。通所リハビリテーションの現場で実際にリハビリテーションを行う職種ではあるが、介護保険サービスを使うための申請支援やケアプラン作成、事業者との調整は担わない。

介護保険制度の概要

保険者:市町村および特別区。 被保険者:第1号被保険者は65歳以上で、原因を問わず要介護・要支援状態となればサービスを利用できる。第2号被保険者は40〜64歳の医療保険加入者で、特定疾病(末期がん、関節リウマチ、脳血管疾患、パーキンソン病関連疾患など16疾病)による場合に限り利用できる。 認定区分:要支援1・2、要介護1〜5の7段階。区分ごとに1か月の支給限度額が決まっている。利用者負担は原則1割(所得に応じて2割または3割)。

ケアプランの作成者

要介護1〜5:居宅介護支援事業所のケアマネジャーが居宅サービス計画を作成する。 要支援1・2:地域包括支援センターが介護予防サービス計画を作成する(居宅介護支援事業所に委託されることもある)。 ケアプランは利用者自身が作成すること(セルフプラン)も制度上は可能である。ケアマネジメントにかかる費用は介護保険から全額給付され、利用者負担はない。

リハビリテーションに関する主な介護保険サービス

通所リハビリテーション(デイケア):介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、医師の指示のもとで理学療法士・作業療法士・言語聴覚士によるリハビリテーションを受ける。 訪問リハビリテーション:リハビリテーション専門職が自宅を訪問して行う。 通所介護(デイサービス):入浴・食事などの介護や機能訓練、レクリエーションが中心で、医師の関与が必須ではない点でデイケアと異なる。

在宅医療・介護に関わる主な職種

ケアマネジャー(介護支援専門員):ケアプラン作成とサービス調整 訪問看護師:主治医の指示に基づく看護 ホームヘルパー(訪問介護員):身体介護・生活援助 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:リハビリテーション 医療ソーシャルワーカー(MSW):病院で入退院や社会資源の利用に関する相談支援

POINT

・介護保険サービスの利用には、要介護認定→ケアプラン作成→事業者との契約という手順が必要である。 ・ケアプランの作成とサービス事業者との連絡・調整を担うのはケアマネジャー(介護支援専門員)である。 ・要介護者は居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援者は地域包括支援センターがケアプランを担当する。 ・訪問看護師、ホームヘルパー、理学療法士などはケアプランに基づいてサービスを提供する側の職種である。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。