指示書がつなぐ病院と家―訪問看護の仕組みを制度から読み解く
第114回医師国家試験 F問題 第14問
国試問題にチャレンジ
訪問看護について正しいのはどれか。
- a.事業者は医療法人に限られる。
- b.医師の指示を受けて業務を行う。
- c.人工呼吸器の在宅管理は業務ではない。
- d.介護保険による訪問回数は,原則週1回までである。
- e.介護保険が適用される場合,訪問看護の自己負担は3割である。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
訪問看護は看護師などが自宅を訪問して療養上の世話と診療の補助を行うサービスで、主治医が交付する訪問看護指示書(有効期間最長6か月)に基づいて行われ、急性増悪時などには最長14日の特別訪問看護指示書が用いられます。事業者は医療法人に限られず、株式会社やNPO法人も開設でき、人工呼吸器管理や点滴、褥瘡処置、看取りなど高度な医療処置も業務に含まれます。介護保険の訪問看護には回数の上限がなく、区分支給限度基準額の範囲でケアプランに沿って利用し、自己負担は原則1割(所得により2割・3割)です。要介護認定者は原則介護保険が優先されますが、末期の悪性腫瘍やALSなど厚生労働大臣が定める疾病等や特別指示期間は医療保険で、原則週3日の制限を超えた訪問が可能です。医師は指示書を通じて在宅チームの起点となるため、制度の仕組みを理解しておくことが患者の在宅療養を支える第一歩になります。
解答・解説
正解はbです
テーマ
在宅医療の柱の一つである訪問看護について、事業者、医師の指示との関係、業務内容、保険制度上の扱い(回数・自己負担)を問う問題である。
訪問看護の要点
訪問看護は、看護師・保健師・准看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の居宅を訪問し、療養上の世話と診療の補助を行うサービスである。提供するのは訪問看護ステーションか、訪問看護を行う病院・診療所である。看護師の業務のうち診療の補助は医師の指示のもとで行うものと保健師助産師看護師法で定められているため、訪問看護は主治医が交付する訪問看護指示書に基づいて行われる。 費用は介護保険または医療保険から給付される。要介護・要支援の認定を受けた人は原則として介護保険が優先されるが、末期の悪性腫瘍や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの厚生労働大臣が定める疾病等、急性増悪時に特別訪問看護指示書が出た場合、精神科訪問看護の場合などは医療保険で行われる。
正解を導く考え方
事業者は医療法人に限られず、人工呼吸器管理などの高度な医療処置も業務に含まれる。介護保険では訪問回数の上限は定められておらず、自己負担は原則1割である。したがって、医師の指示を受けて業務を行うという記述が正しい。
選択肢考察
- ×a. 事業者は医療法人に限られる。
訪問看護ステーションを開設するには法人格が必要だが、医療法人に限られない。社会福祉法人、地方公共団体、医師会・看護協会などの一般社団法人、NPO法人、株式会社などの営利法人も開設できる。規制緩和により異業種からの参入も進み、現在は営利法人の運営するステーションが多くを占める。指定を受けるには、看護職員を常勤換算で2.5人以上配置し、管理者を常勤の保健師または看護師とするなどの基準を満たす必要がある。また、病院・診療所も訪問看護を提供できる。
- ○b. 医師の指示を受けて業務を行う。
訪問看護は、主治医が作成・交付する訪問看護指示書に基づいて行われる。指示書には病名、病状、必要な処置、留意事項などが記載され、有効期間は最長6か月で、通常は1~6か月ごとに更新される。急性増悪や退院直後などで頻回の訪問が必要な場合には、主治医が特別訪問看護指示書(有効期間は最長14日)を交付し、医療保険で毎日の訪問が可能になる。訪問看護側は訪問看護計画書と報告書を主治医に提出し、医師と連携して療養を支える。
- ×c. 人工呼吸器の在宅管理は業務ではない。
人工呼吸器の在宅管理は訪問看護の重要な業務である。医師の指示のもと、人工呼吸器の作動確認や回路の管理、気管切開部のケア、喀痰吸引、呼吸状態の観察などを行い、家族への指導も担う。ALSなどの神経難病で在宅人工呼吸療法(侵襲的・非侵襲的)を行う患者では、訪問診療と訪問看護の組合せが欠かせず、1日に複数回の訪問や複数の訪問看護ステーションの関与が必要になることもある。このほか、点滴・中心静脈栄養の管理、褥瘡処置、カテーテル管理、緩和ケア・看取り、リハビリテーションなども業務に含まれる。
- ×d. 介護保険による訪問回数は,原則週1回までである。
介護保険による訪問看護には、週あたりの回数の上限は定められていない。ケアマネジャー(介護支援専門員)が作成するケアプランに沿って必要な回数を設定でき、実際の制約となるのは要介護度ごとに決められた区分支給限度基準額(保険で使える1か月あたりの上限額)である。一方、医療保険による訪問看護は原則として週3日までと制限があり、厚生労働大臣が定める疾病等の患者や特別訪問看護指示書が出ている期間は週4日以上・1日複数回の訪問が認められる。週1回という制限はどちらの保険にも存在しない。
- ×e. 介護保険が適用される場合,訪問看護の自己負担は3割である。
介護保険サービスの自己負担は原則1割である。一定以上の所得がある第1号被保険者(65歳以上)は2割、特に所得の高い人は3割となる。3割は高所得者に限った例外であり、一律に3割ではない。また、自己負担が高額になった場合には高額介護サービス費制度により所得に応じた上限額を超えた分が払い戻される。
介護保険と医療保険の訪問看護の比較
対象:介護保険は要介護・要支援認定者。医療保険はそれ以外の人(40歳未満、認定を受けていない人など)と、認定者のうち厚生労働大臣が定める疾病等・特別訪問看護指示書の期間・精神科訪問看護の人。 回数:介護保険は上限なし(区分支給限度基準額内でケアプランに基づく)。医療保険は原則週3日まで、特定の場合は週4日以上・1日複数回が可能。 自己負担:介護保険は原則1割(所得により2割・3割)。医療保険は年齢・所得に応じて1~3割。 調整役:介護保険はケアマネジャーがケアプランで調整する。
厚生労働大臣が定める疾病等の例
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、ALS、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(一定以上の重症度)、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態などである。これらの患者は要介護認定を受けていても医療保険で訪問看護を受ける。
在宅医療を支える主な職種・サービス
訪問診療(医師が計画的に定期訪問)と往診(患者の求めに応じた臨時の訪問)、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤管理指導、訪問歯科診療、訪問介護(ホームヘルパー)などがあり、多職種が連携して在宅療養を支える。
POINT
・訪問看護は主治医の訪問看護指示書(有効期間最長6か月)に基づいて行う。特別訪問看護指示書は最長14日。 ・事業者は法人であればよく、医療法人に限られない(株式会社やNPO法人も可)。 ・人工呼吸器管理、点滴、褥瘡処置、看取りなども業務に含まれる。 ・介護保険の訪問看護に回数の上限はない。医療保険は原則週3日まで。 ・介護保険の自己負担は原則1割(所得により2割・3割)。 ・要介護認定者は原則介護保険優先だが、厚生労働大臣が定める疾病等や特別指示期間は医療保険。
