StudyMed医師国家試験

サプリの副作用はどこへ報告する?―PMDAの守備範囲を「法律」で見抜く

第114回医師国家試験 B問題 第15問

国試問題にチャレンジ

第114回 B問題 第15問

医薬品医療機器総合機構〈PMDA〉が医療者から収集する副作用・感染症・不具合等の報告に含まれないのはどれか。

  1. a.医薬品
  2. b.医療機器
  3. c.健康食品
  4. d.予防接種
  5. e.再生医療等製品

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、医療者が副作用や不具合に気づいたとき、どこに報告するのかという制度の問題だ。カギは「その製品がどの法律で規制されているか」という視点。PMDAが何をしている組織か、まずはそこから確認しよう。
医学生医学生
PMDAって、新薬の承認審査をしているところというイメージしかありません。
ドクタードクター
それも大事な仕事だね。PMDAは2004年に設立された独立行政法人で、承認審査、安全対策、健康被害救済という3つの業務を連携して行っている。この3つをセイフティ・トライアングルと呼ぶんだ。今回の問題は、このうち安全対策業務、つまり市販後の副作用や不具合の情報を集めて分析する部分に関わっている。
医学生医学生
医療者からの報告って、任意の協力なんでしょうか。
ドクタードクター
実は法律上の義務なんだ。医薬品医療機器等法、いわゆる薬機法では、医師・歯科医師・薬剤師などの医薬関係者は、医薬品や医療機器などによる副作用・感染症・不具合が疑われ、危害の発生や拡大を防ぐ必要があると認めたときは、厚生労働大臣に報告しなければならないと定めている。その受付窓口と情報の整理・調査を担っているのがPMDAだ。
医学生医学生
ということは、薬機法の対象になっている製品なら報告に含まれる、という考え方でいいですか。
ドクタードクター
その通り。医薬品はもちろん中心的な対象だし、医療機器も薬機法の規制対象だから、不具合やそれに伴う健康被害はPMDAへ報告する。再生医療等製品はどうかな。
医学生医学生
薬理学の講義で、iPS細胞関連の話のときに出てきた気がします。新しい区分ですよね。
ドクタードクター
よく覚えているね。細胞に培養などの加工を施した製品や遺伝子治療用製品などで、2014年に薬事法が薬機法に改められた際、医薬品・医療機器とは別の製品区分として新設された。これも薬機法の対象だから、副作用・感染症・不具合は報告に含まれる。
医学生医学生
予防接種は薬機法ではなく予防接種法の話なので、PMDAとは別ルートかと思ったんですが。
ドクタードクター
そこは引っかかりやすいところだね。定期接種などの副反応疑いは予防接種法に基づいて医師等が国に報告するけれど、その情報の整理・調査を担当しているのはPMDAで、報告もPMDAに提出される。任意接種のワクチンなら、薬機法上の医薬品の副作用報告として扱われる。どちらにしてもPMDAに集まるんだ。
医学生医学生
じゃあ残るのは健康食品ですね。サプリメントは薬じゃないから、ということですか。
ドクタードクター
正解。いわゆる健康食品は、サプリメントも特定保健用食品も機能性表示食品も、法律上は「食品」で、薬機法の対象外だ。だからPMDAの副作用等報告制度には含まれない。健康被害が疑われたら、医療機関は保健所に報告・相談し、保健所が調査して都道府県などを通じて国に上がる、という食品衛生の枠組みで対応するんだ。
医学生医学生
製品の名前の印象ではなく、どの法律で規制されているかで報告先が決まるんですね。
ドクタードクター
そういうこと。臨床での注意点も話しておこう。健康食品は医薬品のような承認審査を経ていないから、医薬品との相互作用や、医薬品成分が違法に混入していたことによる健康被害も報告されている。原因不明の肝障害などを診たら、問診でサプリや健康食品の摂取を必ず確認したい。
医学生医学生
臨床実習の消化器内科で、薬剤性肝障害を疑った患者さんに「市販のサプリも含めて全部教えてください」と先生が聞いていたのを思い出しました。
ドクタードクター
まさにそれが大事な姿勢だね。なお食品衛生法の改正で、厚生労働大臣が指定する成分を含む食品については、事業者に健康被害情報の届出が義務づけられている。食品の側でも安全対策は強化されているんだ。
医学生医学生
健康被害救済のほうも、医薬品を適正に使ったのに副作用が出た場合の制度でしたよね。
ドクタードクター
そう、医薬品副作用被害救済制度だ。適正使用が前提で、患者さんが申請できる。医師は診断書の作成などで関わるから、制度の存在を患者さんに伝えられるようにしておこう。報告と救済、どちらも医療者が知っていて初めて機能する仕組みなんだ。

まとめ

PMDAは承認審査・安全対策・健康被害救済の3業務を担う独立行政法人で、医療者からの副作用・感染症・不具合等の報告を受け付けて整理・調査しています。報告対象は医薬品医療機器等法の規制対象製品(医薬品、医療機器、再生医療等製品など)と、予防接種法に基づく予防接種の副反応疑いです。一方、サプリメントや機能性表示食品などの健康食品は法律上「食品」であり、PMDAへの報告対象には含まれず、健康被害が疑われる場合は保健所に報告します。健康食品は医薬品との相互作用や違法な医薬品成分の混入による被害もありうるため、日常診療で摂取歴を確認する習慣が重要です。報告先を「製品を規制する法律」で整理しておくと、制度問題にも実臨床にも迷わず対応できます。

解答・解説

正解はcです

本問は、医薬品医療機器総合機構〈PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency〉が医療関係者から受け付けている安全性情報の報告制度の対象範囲を問う問題である。

医療関係者からの副作用等報告の仕組み

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、旧薬事法)は、医師・歯科医師・薬剤師などの医薬関係者に対し、医薬品、医療機器、再生医療等製品などの使用によって副作用・感染症・不具合が疑われる事例を知り、保健衛生上の危害の発生・拡大を防ぐ必要があると認めたときは、これを厚生労働大臣に報告するよう義務づけている。この報告の受付と情報の整理・調査はPMDAが担っており、実際の報告先はPMDAである。 また、予防接種による副反応が疑われる事例は、予防接種法に基づいて医師等が報告することになっており、この情報の整理・調査もPMDAが行っている(現在は電子報告システムを通じてPMDAへ報告できる)。

考え方

PMDAが扱うのは、医薬品医療機器等法の規制対象となる製品(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)と予防接種である。一方、いわゆる健康食品は法律上「食品」であり、医薬品医療機器等法の対象外である。健康食品による健康被害が疑われる場合は保健所に相談・報告し、行政(都道府県等・国)の食品衛生の枠組みで調査が行われる。したがって、PMDAへの報告に含まれないのは健康食品である。

選択肢考察

  1. ×a.  医薬品

    医薬品の副作用や、医薬品を介した感染症が疑われる事例は、医薬品医療機器等法に基づく医薬関係者からの副作用等報告の中心的な対象であり、PMDAが受け付けて整理・調査を行う。報告に含まれる。

  2. ×b.  医療機器

    医療機器も医薬品医療機器等法の規制対象であり、医療機器の不具合や、それに伴う健康被害(不具合による有害事象)が疑われる場合は、医薬関係者がPMDAに報告する。報告に含まれる。

  3. ○c.  健康食品

    いわゆる健康食品(サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品など)は法的には食品に分類され、医薬品医療機器等法の対象外であるため、PMDAの副作用等報告制度には含まれない。健康食品による健康被害が疑われる場合は、医療機関は保健所に報告・相談し、保健所が調査を行って、その結果が都道府県等を通じて国に報告されるという食品衛生の仕組みで対応する。なお、食品衛生法の改正により、厚生労働大臣が指定する成分を含む食品(指定成分等含有食品)については、事業者に健康被害情報の行政への届出が義務づけられている。

  4. ×d.  予防接種

    予防接種後の副反応が疑われる事例は、予防接種法に基づき、医師等が国に報告する(副反応疑い報告)。この報告の情報整理・調査はPMDAが担当しており、報告はPMDAに提出される。任意接種のワクチンによる副反応は、医薬品医療機器等法に基づく医薬品の副作用報告として扱われ、こちらもPMDAに報告される。いずれにせよ報告に含まれる。

  5. ×e.  再生医療等製品

    再生医療等製品は、ヒトや動物の細胞に培養などの加工を施した製品や遺伝子治療用製品などで、2014年の薬事法改正(医薬品医療機器等法への改称)の際に、医薬品・医療機器とは別の新たな製品区分として設けられた。これも医薬品医療機器等法の規制対象であり、副作用・感染症・不具合はPMDAへの報告対象である。報告に含まれる。

PMDAの概要

PMDAは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて2004年4月に設立された独立行政法人である。次の3つの業務を連携して行っており、これをセイフティ・トライアングルと呼ぶ。 1.健康被害救済業務:医薬品を適正に使用したにもかかわらず生じた副作用による健康被害への給付(医薬品副作用被害救済制度)、生物由来製品・再生医療等製品を介した感染等による被害の救済、スモン患者への給付、特定フィブリノゲン製剤・特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者への給付金支給など 2.承認審査業務:治験に関する相談、医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査、再審査・再評価、申請資料の信頼性調査、製造所などへの調査、日本薬局方などの基準作成に関する調査 3.安全対策業務:添付文書の届出の受付、製造販売業者や医療機関からの副作用・不具合等の情報収集と整理、科学的な調査・分析、製造販売業者への相談対応、一般からの相談対応、安全性情報の提供(ウェブサイト、PMDAメディナビなど)

副作用等報告の2つの経路

・企業報告:製造販売業者は、副作用等を知った場合、定められた期限内に報告する義務がある。 ・医薬関係者からの報告:医師・歯科医師・薬剤師・看護師などが、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のため必要と認めたときに報告する(法的義務)。

健康食品による健康被害への対応

健康食品は医薬品のような承認審査を経ておらず、医薬品との相互作用や、医薬品成分の違法な混入による健康被害も報告されている。健康被害が疑われる場合は、保健所への報告が基本である。

POINT

・PMDAへの副作用・感染症・不具合等報告の対象は、医薬品医療機器等法の対象製品(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品)と予防接種(予防接種法)である。 ・健康食品は法律上「食品」であり、PMDAへの報告対象外。健康被害は保健所に報告する。 ・PMDAの3業務(セイフティ・トライアングル):健康被害救済、承認審査、安全対策。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。