StudyMed医師国家試験

調査員と主治医、二本柱で決まる―要介護認定の流れを一気に整理

第112回医師国家試験 C問題 第23問

国試問題にチャレンジ

第112回 C問題 第23問

介護保険における要介護認定に必要なのはどれか。2つ選べ。

  1. a.訪問調査
  2. b.主治医意見書
  3. c.保健所長の許可
  4. d.年金手帳
  5. e.ケアプランの作成

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険のサービスを使う前提となる「要介護認定」の手続きを問う問題だ。誰が申請して、どんな資料をもとに、誰が要介護度を決めるのか。この流れを順番に押さえれば迷わず解けるよ。まず申請先はどこだと思う?
医学生医学生
介護保険の保険者は市町村なので、市町村に申請するんですよね。
ドクタードクター
その通り。本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者が代行することもできる。申請を受けた市町村は、判断材料を集めるために2つのことを行う。一つは調査員が自宅や施設を訪ねて行う認定調査、もう一つは主治医への意見書の依頼だ。
医学生医学生
訪問調査では具体的に何を見るんですか。
ドクタードクター
麻痺や拘縮といった身体機能、起き上がりや歩行、食事・排泄などの生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応、過去14日間に受けた特別な医療などを、全国共通の調査票で聞き取る。市町村の職員や委託を受けたケアマネジャーなどが担当するんだ。
医学生医学生
全国共通なのは、地域によって判定がばらつかないようにするためですね。
ドクタードクター
そう。そして基本調査の結果をコンピュータに入力して、介護にかかる時間を推計するのが一次判定。主治医意見書の一部項目もここで使われる。続いて保健・医療・福祉の専門家でつくる介護認定審査会が、一次判定の結果に調査の特記事項と主治医意見書を加えて審査する二次判定を行い、要介護度を決める。最終的に市町村が認定して、原則30日以内に通知するんだ。
医学生医学生
主治医意見書は、医師が書く書類ですよね。地域医療の実習で、在宅診療の先生が外来の合間に書いているのを見ました。
ドクタードクター
いいところを見ているね。意見書には介護が必要になった原因疾患、心身の状態、認知症や行動・心理症状の有無、必要な医学的管理、生活機能の見通しなどを書く。訪問調査だけでは分からない医学的情報を補う大事な資料だ。40〜64歳の第2号被保険者では、原因が末期がんや関節リウマチ、ALS、脳血管疾患などの特定疾病に当たるかどうかの確認にも使われる。
医学生医学生
ということは、必要なのは訪問調査と主治医意見書の2つですね。
ドクタードクター
正解。ほかの選択肢も見ておこう。保健所長の許可はどうかな。
医学生医学生
保健所は感染症対策や食品衛生のイメージで、介護認定には関わらない気がします。
ドクタードクター
その通り。保健所は地域保健法に基づく公衆衛生行政機関で、要介護認定は保険者である市町村が審査会の判定に基づいて行う。保健所は関与しないんだ。年金手帳も不要だね。申請では、65歳以上の第1号被保険者は介護保険被保険者証、第2号被保険者は医療保険の被保険者証などを使う。
医学生医学生
保険料が年金から天引きされると聞いたので、年金手帳が要るのかと一瞬迷いました。
ドクタードクター
それは保険料の徴収方法で、一定額以上の年金を受け取っている人では特別徴収といって年金から天引きされる。認定の手続きとは別の話だから混同しないようにね。最後にケアプランの作成はどうだろう。
医学生医学生
ケアプランはサービスの計画なので、要介護度が決まってから作るものではないでしょうか。
ドクタードクター
その通り。ケアプランは認定の結果を受けて、どのサービスをどれだけ使うかを決める計画だ。要介護1〜5なら居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援1・2なら主に地域包括支援センターが作成する。本人が自分で作るセルフケアプランも認められている。順番が逆になっているのがこの選択肢の引っかけだね。
医学生医学生
申請、訪問調査と主治医意見書、一次判定、二次判定、認定、そのあとにケアプラン、という順番ですね。
ドクタードクター
完璧だ。周辺知識も押さえておこう。認定結果は非該当、要支援1・2、要介護1〜5に分かれる。要支援は予防給付、要介護は介護給付の対象で、特別養護老人ホームは原則要介護3以上が入所対象だ。利用者負担は原則1割で、所得に応じて2割か3割。認定には有効期間があるので更新申請が必要で、状態が変われば期間中でも区分変更を申請できる。
医学生医学生
研修医になったら、私たちも主治医意見書を書く機会がありそうですね。
ドクタードクター
必ずあるよ。意見書の内容が二次判定に影響するから、病名だけでなく、日常生活で何ができて何に困っているか、認知症の症状がどう生活に影響しているかを具体的に書くことが大切だ。その一枚が患者さんの受けられる介護サービスにつながる、という意識を持っておいてほしい。

まとめ

介護保険の要介護認定は、保険者である市町村への申請から始まり、調査員による訪問での認定調査と、主治医意見書の2つを判断材料として行われます。認定調査の結果をもとにコンピュータで一次判定を行い、介護認定審査会が特記事項と主治医意見書を加えて二次判定を行い、市町村が非該当・要支援1・2・要介護1〜5のいずれかを認定します。保健所は認定に関与せず、年金手帳は申請書類に含まれず、ケアプランは認定後にケアマネジャーや地域包括支援センターが作成するものです。医師は主治医意見書を通じて認定に直接関わるため、患者の生活機能や認知症の影響を具体的に記載できるよう、この制度の流れを理解しておくことが重要です。

解答・解説

正解はa, bです

本問は、介護保険のサービスを受ける前提となる「要介護認定」の手続きを問う問題である。

要介護認定の流れ

1. 申請:本人または家族(地域包括支援センターや居宅介護支援事業者などによる代行も可)が、保険者である市町村(特別区を含む)に申請する。 2. 認定調査(訪問調査):市町村の職員や委託を受けた調査員が自宅や施設を訪れ、心身の状態や日常生活動作などについて全国共通の調査票で聞き取りを行う。 3. 主治医意見書:市町村が申請者の主治医に意見書の作成を依頼する。主治医がいない場合は市町村が指定する医師の診察を受ける。 4. 一次判定:認定調査の基本調査項目(と主治医意見書の一部項目)をコンピュータに入力し、介護に要する時間(要介護認定等基準時間)を推計して判定する。 5. 二次判定:保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定の結果に認定調査の特記事項と主治医意見書を加えて審査し、要介護度を最終的に決定する。 6. 認定・通知:市町村が「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかを認定し、原則として申請から30日以内に通知する。 つまり、認定の判断材料となる二本柱は「訪問による認定調査」と「主治医意見書」である。ケアプランの作成はこの認定の後に行う手続きであり、認定の要件ではない。

選択肢考察

  1. ○a.  訪問調査

    必要である。市町村の職員または委託を受けた調査員(介護支援専門員など)が申請者の自宅や入所施設を訪問し、麻痺・拘縮などの身体機能、起き上がりや歩行、食事・排泄などの生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応、過去14日間に受けた特別な医療などを全国一律の調査票で確認する。基本調査の結果はコンピュータによる一次判定に用いられ、調査票に記載された特記事項は二次判定の資料となる。

  2. ○b.  主治医意見書

    必要である。市町村は申請者の主治医に、介護が必要となった原因疾患、心身の状態、認知症や行動・心理症状の有無、必要な医学的管理、生活機能の見通しなどについての意見書を求める。主治医意見書は介護認定審査会の二次判定において、訪問調査だけではわからない医学的な情報を補う重要な資料となる。また、40〜64歳の第2号被保険者では、介護が必要となった原因が特定疾病(末期がん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、脳血管疾患など16疾病)によるかどうかの確認にも用いられる。

  3. ×c.  保健所長の許可

    不要である。介護保険の保険者は市町村であり、要介護認定は市町村が介護認定審査会の審査・判定に基づいて行う。保健所は地域保健法に基づく公衆衛生行政機関であり、要介護認定の手続きには関与しない。

  4. ×d.  年金手帳

    不要である。申請時には、65歳以上の第1号被保険者は介護保険被保険者証、40〜64歳の第2号被保険者は医療保険の被保険者証などを用いる。年金手帳は認定の判断材料にも申請書類にも含まれない。なお、第1号被保険者の保険料は一定額以上の年金受給者では年金から天引き(特別徴収)されるが、これは保険料の徴収方法であり要介護認定とは別の話である。

  5. ×e.  ケアプランの作成

    不要である。ケアプラン(介護サービス計画)は、要介護度が認定された後に、利用者の状態や希望に合わせてどのサービスをどの程度利用するかを定める計画である。要介護1〜5では居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が、要支援1・2では主に地域包括支援センターが作成する(本人が自ら作成するセルフケアプランも認められている)。ケアプランは認定の結果を受けて作られるものであり、認定の前提条件ではない。

介護保険制度の概要

・保険者:市町村および特別区。 ・被保険者:第1号被保険者は65歳以上の者で、原因を問わず要介護・要支援状態となれば給付を受けられる。第2号被保険者は40〜64歳の医療保険加入者で、特定疾病(16疾病)が原因で要介護・要支援状態となった場合に限り給付を受けられる。 ・財源:利用者負担を除いた給付費の50%を公費、50%を保険料でまかなう。 ・利用者負担:原則1割(所得に応じて2割または3割)。

要介護度と給付

・要支援1・2:予防給付(介護予防サービス)の対象。 ・要介護1〜5:介護給付の対象。施設サービスのうち介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は原則として要介護3以上が入所対象。 ・非該当(自立):給付の対象外だが、市町村の地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業など)を利用できる場合がある。

認定の有効期間と更新

認定には有効期間があり、期間満了前に更新申請を行う必要がある。状態が変化した場合は、有効期間中でも区分変更の申請ができる。

介護認定審査会

市町村に置かれ、保健・医療・福祉の学識経験者(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、介護福祉士、社会福祉士など)で構成される合議体である。

POINT

・要介護認定の二本柱は「認定調査(訪問調査)」と「主治医意見書」。 ・一次判定はコンピュータ判定、二次判定は介護認定審査会が行い、市町村が認定する。 ・申請先・保険者は市町村(保健所は関与しない)。 ・ケアプランは認定後に介護支援専門員などが作成する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。