駅で倒れている人を見つけたら―最初の一手は「肩をたたいて呼びかける」
第101回医師国家試験 C問題 第35問
国試問題にチャレンジ
駅の構内で中年男性が倒れているのを発見した。 まず行うのはどれか。
- a.脈の触知
- b.呼吸の確認
- c.気道の確保
- d.意識状態の確認
- e.対光反射の確認
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクター
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ドクター
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ドクター
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ドクターまとめ
院外で倒れている人を見つけたら、周囲の安全を確認した後、まず肩をたたいて呼びかけ、反応(意識状態)を確認します。反応がなければ大声で応援を求めて119番通報とAEDの手配を依頼し、10秒以内に普段どおりの呼吸の有無を確認して、呼吸がない、または死戦期呼吸なら直ちに胸骨圧迫を開始します。現行のBLSは胸骨圧迫を最優先するC→A→Bの順で、気道確保は人工呼吸の際に行い、市民救助者は脈拍確認を行わず、対光反射はBLSに含まれません。判断に迷う場合は心停止とみなして行動し、胸骨圧迫は胸骨の下半分を約5cmの深さ、100〜120回/分で中断を最小限にすることが重要です。反応確認を起点とする一連の手順を体で覚えておくことは、医療者として院内外どこでも命をつなぐための基本になります。
解答・解説
正解はdです
【テーマ】院外で倒れている人を見つけたときの一次救命処置(BLS: basic life support)の最初の手順が問われている。
BLSの流れ(JRC蘇生ガイドラインに基づく市民・医療者共通の基本)
1. 周囲の安全確認: 駅構内であれば、ホーム端や線路付近、人の往来など救助者自身と傷病者に危険がないかを確かめる。 2. 反応(意識)の確認: 肩を軽くたたきながら大声で呼びかけ、目を開ける・返事をする・目的のある動作をするなどの反応があるかをみる。 3. 反応がなければ、大声で周囲に助けを求め、119番通報とAED(自動体外式除細動器)の手配を依頼する。 4. 呼吸の確認: 胸と腹部の動きを見て、「普段どおりの呼吸」があるかを10秒以内で判断する。呼吸がない、または死戦期呼吸(しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸)であれば心停止と判断する。 5. ただちに胸骨圧迫を開始し、準備ができれば人工呼吸(30:2)を組み合わせ、AEDが到着したら電源を入れて指示に従う。
考え方
倒れている人を見たとき、最初に知るべきことは「反応があるかどうか」である。反応があれば心停止ではなく、体位の工夫や経過観察、必要に応じた通報へと進む。反応がなければ心停止の可能性を念頭に、応援要請・通報・AED手配を急ぐ。つまり意識状態の確認が、その後の行動すべてを分ける分岐点になっている。選択肢の中で周囲の安全確認に続き最初に行うべきものは意識状態の確認である。
選択肢考察
- ×a. 脈の触知
頸動脈などの脈拍触知は、医療従事者であっても短時間で正確に判断するのが難しく、確認に時間をかけると胸骨圧迫の開始が遅れる。現在のガイドラインでは、市民救助者は脈拍を確認しない。医療従事者が行う場合も、反応の確認と応援要請の後に呼吸の確認と同時に10秒以内で行うにとどめ、はっきりしなければ胸骨圧迫を開始する。最初に行う手順ではない。
- ×b. 呼吸の確認
呼吸の確認は心停止を判断するうえで重要だが、反応がないことを確認し、助けを呼んで通報・AEDの手配を依頼した後に行う。胸と腹部の動きを見て、普段どおりの呼吸がなければ(死戦期呼吸を含む)心停止と判断して胸骨圧迫に移る。最初の手順ではない。
- ×c. 気道の確保
かつては「A(airway: 気道確保)→B(breathing: 呼吸)→C(circulation: 循環)」の順が基本とされたが、2010年以降のガイドラインでは胸骨圧迫を最優先する「C→A→B」の順に改められた。気道確保(頭部後屈あご先挙上法など)は胸骨圧迫を開始した後、人工呼吸を行う際に実施するものであり、反応の確認より先に行うことはない。
- ○d. 意識状態の確認
周囲の安全を確かめた後、BLSで最初に行うのが反応(意識状態)の確認である。肩を軽くたたきながら呼びかけ、反応の有無を確かめる。反応がなければ心停止の可能性があるため、ただちに周囲に助けを求め、119番通報とAEDの手配を依頼する。反応の有無がその後の対応を決めるため、まず行うべき手順である。
- ×e. 対光反射の確認
対光反射は瞳孔に光を当てて縮瞳するかをみる脳幹機能の評価であり、ペンライトが必要で、意識障害の原因検索や脳ヘルニアの評価などに用いる二次的な神経学的診察である。BLSの手順には含まれず、心停止の判断にも使わないため、最初に行う処置ではない。
JRC蘇生ガイドラインにおける市民用BLSアルゴリズムの要点
・安全確認 → 反応の確認 → 反応なし(または判断に迷う)なら大声で応援要請・119番通報・AED手配 → 呼吸の確認(10秒以内) → 普段どおりの呼吸がない(または判断に迷う)なら胸骨圧迫開始。 ・判断に迷う場合は心停止とみなして行動することが推奨される(胸骨圧迫による害は小さく、遅れによる害が大きいため)。 ・119番通報時には通信指令員が口頭で胸骨圧迫の方法などを指導する(口頭指導)。
質の高い胸骨圧迫
・部位: 胸骨の下半分 ・深さ: 約5cm(6cmを超えない) ・テンポ: 100〜120回/分 ・毎回胸郭を元の位置まで戻し、中断は最小限(10秒未満)にする。 ・人工呼吸の訓練を受けていて意思がある場合は、30:2で人工呼吸を組み合わせる。できない場合は胸骨圧迫のみでよい。
AED
到着したらただちに電源を入れ、音声指示に従って電極パッドを貼る。心電図解析と電気ショックの間は傷病者に触れず、ショック後はすぐに胸骨圧迫を再開する。
死戦期呼吸
心停止直後にみられる、しゃくりあげるような不規則な呼吸。呼吸があると誤認しやすいが、心停止のサインとして扱う。
POINT
・倒れている人に対しては、周囲の安全確認の後、まず反応(意識)を確認する。 ・反応がなければ応援要請、119番通報、AED手配 → 呼吸確認(10秒以内) → 胸骨圧迫。 ・現行のBLSは「C→A→B」の順で、胸骨圧迫を最優先する。気道確保が最初ではない。 ・市民救助者は脈拍確認を行わない。対光反射はBLSに含まれない。
