StudyMed医師国家試験

縦はG、横はA―CKD重症度分類「CGA」の地図を読み解く

第110回医師国家試験 I問題 第14問

国試問題にチャレンジ

第110回 I問題 第14問

慢性腎臓病の重症度分類を別に示す。  A1からA3の方向(横軸方向)の区分を規定する指標はどれか。

第110回 I問題 第14問の問題画像
  1. a.eGFR
  2. b.年齢
  3. c.蛋白尿
  4. d.体格指数
  5. e.平均血圧

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は慢性腎臓病、いわゆるCKDの重症度分類の表の読み方を問う問題だ。ポイントは、この表が縦と横の2つの軸でできていて、それぞれ別の指標で区分されていること。まずは表の名前から思い出してみよう。
医学生医学生
確かCGA分類でしたよね。腎臓内科の講義で聞いた覚えがあります。
ドクタードクター
その通り。C、G、Aはそれぞれ何の頭文字だったかな。
医学生医学生
Cは原疾患のCause、GはGFRです。Aは……なんとなくAlbuminだった気がします。
ドクタードクター
正解。AはAlbuminuria、つまりアルブミン尿の頭文字だ。表の縦方向がG1からG5で腎機能、横方向がA1からA3で蛋白尿の程度を表している。だから横軸方向を規定するのは蛋白尿になるね。
医学生医学生
最初、eGFRに飛びつきそうになりました。CKDといえばeGFRのイメージが強くて。
ドクタードクター
そう感じる人は多いよ。eGFRはもちろん重要な指標だけれど、それは縦軸のG区分を決めるものだ。G1が90以上、G2が60〜89、G3aが45〜59、G3bが30〜44、G4が15〜29、G5が15未満で、単位はmL/分/1.73m²。G3だけaとbに分かれているのがよく問われるところだね。
医学生医学生
年齢はどうでしょう。高齢になるとCKDが増えるので、関係ありそうに思えました。
ドクタードクター
年齢はeGFRを計算する推算式の変数として使われる。血清クレアチニン、年齢、性別から算出するからね。でも分類の軸そのものではないし、横軸とはまったく関係がない。
医学生医学生
体格指数も肥満がCKDのリスクだから出てきた選択肢でしょうか。
ドクタードクター
そうだね。BMIは肥満の指標で、肥満はCKDの危険因子の一つだけれど、重症度分類には入っていない。ちなみにeGFRが体表面積1.73m²あたりに標準化されている点は、体格との関係として押さえておくといい。平均血圧も同じで、高血圧はCKDの原因にも進行因子にもなるけれど、軸には含まれない。高血圧が原因なら、CGAのうちCの原疾患として書かれることになる。
医学生医学生
蛋白尿の区分は、糖尿病とそれ以外で指標が違うんでしたっけ。
ドクタードクター
よく気づいたね。糖尿病では尿アルブミン/クレアチニン比を使って、30mg/gCr未満がA1、30〜299がA2の微量アルブミン尿、300以上がA3の顕性アルブミン尿。それ以外の疾患では尿蛋白/クレアチニン比で、0.15g/gCr未満がA1、0.15〜0.49がA2、0.50以上がA3だ。随時尿でもクレアチニンで補正するから、尿の濃さの影響を受けにくいんだ。
医学生医学生
そもそも、どうして腎機能と蛋白尿の2つを組み合わせるんですか。
ドクタードクター
大規模な疫学研究で、GFRの低下と蛋白尿の増加が、それぞれ独立して末期腎不全、心血管疾患、死亡のリスクを高めることが示されたからだ。両方を組み合わせることで予後をより正確に層別化できる。表は右下ほど危険度が高く、緑から黄、オレンジ、赤へと色分けされたヒートマップになっている。
医学生医学生
eGFRが保たれていても、蛋白尿が多ければ赤に近づくということですね。
ドクタードクター
その通り。だからG1やG2の人は、蛋白尿などの腎障害の所見があって初めてCKDと診断される。定義は、腎障害の所見かGFR 60未満のどちらか、または両方が3か月以上続くことだったね。
医学生医学生
内科の実習で、糖尿病の外来患者さんに尿アルブミンを定期的に測っていたのはそのためだったんですね。
ドクタードクター
まさにそう。臨床では、蛋白尿の減少そのものが腎保護の指標になる。レニン-アンジオテンシン系阻害薬やSGLT2阻害薬の効果判定にも蛋白尿を見るし、腎臓専門医への紹介基準もこの表の区分に基づいて決められている。CKDは腎臓だけの問題ではなく、心血管疾患の強い危険因子でもあることを忘れないでほしい。

まとめ

CKDの重症度は、原疾患(Cause)、腎機能(GFR)、蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria)を組み合わせたCGA分類で評価します。表の縦方向G1〜G5はeGFRで、横方向A1〜A3は蛋白尿の程度で区分され、糖尿病では尿アルブミン/クレアチニン比、それ以外の疾患では尿蛋白/クレアチニン比を用います。年齢はeGFRの算出式の変数、肥満や高血圧はCKDの危険因子ですが、いずれも分類の軸ではありません。GFR低下と蛋白尿はそれぞれ独立して末期腎不全・心血管疾患・死亡のリスクを高めるため、表の右下ほどリスクが高いヒートマップとして示されます。この表を正しく読めることは、治療効果の判定や専門医への紹介判断など、日常診療でのCKD管理の基本になります。

解答・解説

正解はcです

慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)の重症度分類の構造を問う問題である。 CKD の重症度は、原疾患(Cause)、腎機能(GFR)、蛋白尿・アルブミン尿(Albuminuria)の3つを組み合わせて評価し、それぞれの頭文字から CGA 分類と呼ばれる。表は縦軸と横軸の2方向で構成される。 ・縦方向(G1〜G5):糸球体濾過量(GFR)。臨床では血清クレアチニン値・年齢・性別から算出した推算 GFR(eGFR)を用いる。 ・横方向(A1〜A3):蛋白尿の程度。糖尿病では尿アルブミン、それ以外の疾患(高血圧、腎炎など)では尿蛋白で区分する。 「A」はアルブミン尿(Albuminuria)の頭文字に由来する。腎機能の低下と蛋白尿の増加は、それぞれ独立して末期腎不全(透析導入)・心血管疾患・死亡のリスクを高めることが大規模な疫学研究で示されており、両者を組み合わせることで予後をより正確に層別化できる。表は右下(G が大きく、A が大きい)ほどリスクが高く、緑→黄→オレンジ→赤と色分けされる(ヒートマップ)。したがって横軸方向 A1〜A3 を規定する指標は蛋白尿である。

選択肢考察

  1. ×a.  eGFR

    eGFR(estimated glomerular filtration rate:推算糸球体濾過量)は、重症度分類の縦軸方向(G1〜G5)を規定する指標である。G1:90以上、G2:60〜89、G3a:45〜59、G3b:30〜44、G4:15〜29、G5:15未満(単位は mL/分/1.73 m²)に区分される。横軸方向の指標ではない。

  2. ×b.  年齢

    年齢は eGFR を算出する推算式の変数として用いられる(加齢とともに eGFR は低く算出される)が、重症度分類の軸そのものではない。高齢はCKD の危険因子ではあるが、A1〜A3 の区分には関係しない。

  3. ○c.  蛋白尿

    横軸方向の A1〜A3 は蛋白尿の程度で区分される。糖尿病性腎臓病では尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)を用い、A1:30未満(正常)、A2:30〜299(微量アルブミン尿)、A3:300以上(顕性アルブミン尿)とする。高血圧・腎炎・多発性嚢胞腎・移植腎などその他の疾患では尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)を用い、A1:0.15未満(正常)、A2:0.15〜0.49(軽度蛋白尿)、A3:0.50以上(高度蛋白尿)とする。随時尿で測定しクレアチニンで補正することで、尿の濃さの影響を除いている。

  4. ×d.  体格指数

    体格指数(BMI:body mass index、体重kg÷身長m²)は肥満の指標であり、肥満は CKD の危険因子の一つだが、重症度分類の指標ではない。なお eGFR は体表面積 1.73 m² あたりに標準化した値として表される。

  5. ×e.  平均血圧

    高血圧は CKD の原因かつ進行因子であり、降圧は CKD 管理の柱であるが、血圧は重症度分類の軸には含まれない。高血圧が原因である場合は、分類の要素のうち原疾患(C)として記載される。

CKD の定義

①尿異常、画像診断・血液検査・病理診断での腎障害の存在(特に 0.15 g/gCr 以上の蛋白尿、30 mg/gCr 以上のアルブミン尿)、②GFR 60 mL/分/1.73 m² 未満、のいずれか、または両方が3か月以上持続するもの。

CGA 分類の要点

・C(Cause):原疾患。糖尿病、高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、移植腎など。 ・G(GFR):G1〜G5 の6区分(G3 は a・b に分かれる)。G1・G2 は GFR が保たれているため、蛋白尿などの腎障害の所見があって初めて CKD と診断される。 ・A(Albuminuria):A1〜A3 の3区分。糖尿病ではアルブミン尿、それ以外は蛋白尿で評価する(保険診療上、尿アルブミン定量は糖尿病例での測定が原則である)。

臨床的意義

・GFR 低下と蛋白尿は独立した予後因子であり、組み合わせるとリスクは相加的・相乗的に高まる。 ・CKD は末期腎不全だけでなく心血管疾患の強力な危険因子でもある(心腎連関)。 ・蛋白尿の減少は腎保護の指標となり、レニン-アンジオテンシン系阻害薬や SGLT2 阻害薬などの治療効果判定にも用いられる。 ・腎臓専門医への紹介基準も、この表の区分(例:高度蛋白尿、GFR 45 未満など)に基づいて定められている。

POINT

・CKD 重症度分類=CGA 分類(原疾患・GFR・アルブミン尿/蛋白尿)。 ・縦軸 G1〜G5:eGFR。横軸 A1〜A3:蛋白尿(糖尿病は尿アルブミン、それ以外は尿蛋白)。 ・糖尿病:尿アルブミン/Cr 比 30未満/30〜299/300以上 mg/gCr。 ・その他:尿蛋白/Cr 比 0.15未満/0.15〜0.49/0.50以上 g/gCr。 ・右下ほど末期腎不全・心血管疾患・死亡のリスクが高い(ヒートマップ)。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。