StudyMed医師国家試験

医師は本籍を書かない―死亡診断書と死亡届、1枚の用紙の右と左

第106回医師国家試験 F問題 第7問

国試問題にチャレンジ

第106回 F問題 第7問

死亡診断書で記載する必要がないのはどれか。

  1. a.本籍
  2. b.性別
  3. c.生年月日
  4. d.死因の種類
  5. e.死亡したところ

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は死亡診断書に何を書くかという、医師になったらすぐに直面する実務の問題だ。ポイントは、死亡診断書がどんな目的の書類で、誰が何を書くのかを理解しておくこと。まず、死亡診断書とはどういう書類だと思う?
医学生医学生
人が亡くなったことを証明する書類ですよね。役所に出すものなので、戸籍に関わる本籍も書くのかなと思っていました。
ドクタードクター
そう考える人は多いんだけど、そこが今回の落とし穴だ。死亡診断書は人の死亡を医学的・法律的に証明する書類で、医師が作成する。実は死亡診断書と死亡届はA3判1枚の用紙にまとめられていて、右半分が医師の書く死亡診断書、左半分が届出人の書く死亡届なんだ。
医学生医学生
1枚の紙に両方が載っているんですか。それは知りませんでした。
ドクタードクター
そして本籍や住所は、戸籍や住民登録の手続きに必要な情報だから、左半分の死亡届に同居の親族などの届出人が記入する。医学的事実を記録する死亡診断書には本籍の欄はない。だから記載する必要がないのは本籍だね。
医学生医学生
医師が書くのは医学的な情報、戸籍の情報は家族が書く、と役割で分かれているんですね。でも性別や生年月日は医学的な情報ではない気もします。
ドクタードクター
いい疑問だね。性別と生年月日は、氏名とともに死亡者を特定する基本情報として死亡診断書に書く。さらに死亡統計を性別や年齢別に集計するのにも使われる。生後30日以内に亡くなった場合は出生時刻も書くんだ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で習った人口動態統計の死因データは、死亡診断書がもとになっているんですよね。
ドクタードクター
その通り。だからこそ死因の種類も重要な記載事項になる。大きく「病死及び自然死」「外因死」「不詳の死」に分かれ、外因死は交通事故、転倒・転落、溺水、窒息、中毒、自殺、他殺などに細かく分けられて、全部で12区分から選ぶ。
医学生医学生
死亡したところも書きますか。病院で亡くなるのが当たり前のように思っていました。
ドクタードクター
書くよ。病院、診療所、介護医療院・介護老人保健施設、老人ホーム、自宅などの種別と、住所・施設名を記入する。在宅死の割合のような統計にも使われる。在宅医療が広がっている今、自宅や施設で看取る場面は決して珍しくない。
医学生医学生
地域医療実習で訪問診療に同行したとき、先生がご自宅で死亡診断書を書いていたのを思い出しました。
ドクタードクター
良い経験をしたね。ここで死亡診断書と死体検案書の違いも押さえておこう。診療していた患者が、その傷病に関連して亡くなった場合は死亡診断書。それ以外、たとえば診療中でなかった人の死亡や外因死などでは、死体を検案して死体検案書を作成する。両者は同じ様式で、表題のどちらかを二重線で消して使うんだ。
医学生医学生
最終診察から24時間を過ぎていたら、必ず死体検案書になるのでしょうか。
ドクタードクター
よくある誤解だね。24時間を超えていても、診療中の傷病による死亡と判断できれば、死後に診察したうえで死亡診断書を交付できる。一方、検案して異状を認めた場合は、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務がある。これは医師法第21条の規定だ。
医学生医学生
時間の区切りが別の意味で出てくるので、混同しないように注意します。
ドクタードクター
実際に書くときの注意点も紹介しておこう。死亡時刻は午前・午後の12時間制で書き、夜の12時は「午前0時」とする。死亡の原因欄には、終末期の状態としての心不全や呼吸不全を書かず、直接死因からさかのぼって原死因がわかるように記入する。統計はこの原死因に基づいて集計されるからね。それから死亡届は、死亡を知った日から7日以内に市区町村長へ提出し、受理されると火葬の許可証が交付される。
医学生医学生
自分の書いた1枚がご家族の手続きにも、国の統計にもつながるんですね。責任の重さを感じます。
ドクタードクター
その感覚を大事にしてほしい。正確で読みやすい死亡診断書を書くことは、医師としての大切な仕事の一つだよ。

まとめ

死亡診断書は医師が死亡を医学的・法律的に証明する書類で、死亡届と1枚の用紙にまとめられており、右半分を医師が、左半分の死亡届を届出人が記入します。本籍や住所は戸籍・住民登録の手続きに必要な情報として死亡届に書かれるもので、死亡診断書には記載欄がありません。死亡診断書には氏名・性別・生年月日、死亡したとき、死亡したところ、死亡の原因、12区分の死因の種類などを記載し、これらは人口動態統計の基礎データにもなります。診療中の傷病以外による死亡では死体検案書を作成し、異状を認めれば24時間以内に警察へ届け出ること、死亡届は7日以内に提出することもあわせて押さえておきましょう。誰が何を書くのかを理解しておくことは、研修医になってすぐ求められる実務に直結します。

解答・解説

正解はaです

死亡診断書とは

死亡診断書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する書類であり、医師(歯科医師)が作成する。診療していた患者が、その傷病に関連して死亡した場合に交付する。それ以外の場合(診療中でなかった者の死亡、外因死やその疑いがある場合など)は、死体を検案したうえで死体検案書を作成する。両者は同一の様式を用い、表題のどちらかを二重線で消して使う。

記載事項

死亡診断書(死体検案書)に記載すべき事項は医師法施行規則に定められており、おおむね次のとおりである。 ・死亡者の氏名、性別、生年月日 ・死亡したとき(年月日と時分) ・死亡したところ(場所とその種別:病院、診療所、自宅、介護医療院・介護老人保健施設、老人ホームなど) ・死亡の原因(直接死因とその原因となった傷病、発病から死亡までの期間、死亡に影響した傷病、手術・解剖の有無と所見) ・死因の種類 ・外因死の場合の追加事項、生後1年未満で病死した場合の追加事項 ・診断(検案)年月日、発行年月日、医師の所属施設の所在地・名称と氏名

設問の考え方

死亡診断書は医学的な事実を記録する書類であり、死亡者の本籍や住所といった戸籍・住民登録に関わる事項の記載欄はない。これらは、同じ用紙の左半分にある「死亡届」に、届出人が記入する。したがって記載不要なのは本籍である。

選択肢考察

  1. ○a.  本籍

    死亡診断書(右半分)には本籍を書く欄はない。本籍は死亡届(左半分)の記載事項であり、医師ではなく届出人(同居の親族など)が記入する。死亡届は戸籍の記録を抹消する手続きのための書類であるため本籍や住所が必要となるが、医学的な証明書である死亡診断書には求められない。したがって、これが記載する必要のない事項である。

  2. ×b.  性別

    性別は、氏名・生年月日とともに死亡者を特定する基本的な情報として死亡診断書に記載する。人口動態統計で死因を性別に集計するためにも使われる。

  3. ×c.  生年月日

    生年月日は死亡診断書の記載事項である。死亡者の特定のほか、死亡時の年齢を算出して年齢別の死亡統計をとるためにも必要となる。生後30日以内に死亡した場合には、出生時刻も記入する。

  4. ×d.  死因の種類

    死因の種類は死亡診断書の重要な記載事項である。「病死及び自然死」「外因死」「不詳の死」に大きく分けられ、外因死はさらに不慮の外因死(交通事故、転倒・転落、溺水、煙・火災及び火焔による傷害、窒息、中毒、その他)と、その他及び不詳の外因死(自殺、他殺、その他及び不詳の外因)に細分され、全部で12区分のいずれかを選ぶ。

  5. ×e.  死亡したところ

    死亡したところは死亡診断書の記載事項であり、死亡した場所の種別(病院、診療所、介護医療院・介護老人保健施設、助産所、老人ホーム、自宅、その他)と、その住所、施設名を記入する。死亡場所の統計(在宅死の割合など)にも利用される。

死亡診断書と死亡届の関係

死亡診断書と死亡届は、A3判1枚の用紙にまとめられている。右半分が医師の記入する死亡診断書(死体検案書)、左半分が届出人の記入する死亡届である。死亡届には死亡者の氏名、住所、本籍、世帯の主な仕事、死亡者の職業・産業(国勢調査年のみ)、届出人の情報などを記入する。

死亡届の提出

戸籍法に基づき、届出義務者(同居の親族、その他の同居者、家主・地主など)が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3か月以内)に市区町村長へ提出する。死亡診断書(死体検案書)を添付する必要がある。死亡届が受理されると、火葬(埋葬)許可証が交付される。

死亡診断書と死体検案書の使い分け

・死亡診断書:診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡した場合。最終診察から24時間を超えて死亡した場合でも、診療中の傷病による死亡と判断できれば死後に診察したうえで交付できる。 ・死体検案書:上記以外の場合(診療中でない者の死亡、外因死など)。医師は死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない(医師法第21条)。

記載上の注意

・死亡時刻は「午前・午後」を用いた12時間制で記入する(夜の12時は「午前0時」、昼の12時は「午後0時」)。 ・死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全や呼吸不全は書かない。直接死因から順にさかのぼって原死因(死亡を引き起こした一連の出来事の起点となった疾患や外因)がわかるように記入する。人口動態統計の死因は、この原死因に基づいて集計される。

POINT

・死亡診断書には死亡者の本籍・住所の記載欄はない(本籍・住所は死亡届に届出人が記入する)。 ・主な記載事項:氏名・性別・生年月日、死亡したとき、死亡したところ、死亡の原因、死因の種類(12区分)など。 ・死亡診断書と死体検案書は同じ様式で、死亡届と1枚の用紙になっている。 ・死亡届は死亡を知った日から7日以内に市区町村長へ提出する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。